不貞行為などの不法行為による損害賠償請求権の時効は民法上で次のように定められています。
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する
1 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
2 不法行為の時から20年間行使しないとき。民法第724条|e-Gov法令検索からの引用
1または2のいずれか早い時点が時効の完成日となります。
※2020年3月31日までに不貞行為から20年が経過している場合は時効ではなく「除斥期間の経過」により不貞の慰謝料を請求する権利は消滅しています。
結局のところ何年何もしなければ慰謝料請求ができなくなってしまうのか?
2020年の民法改正後も「不定の事実を知った時から3年間何もしなければ時効」に変更はありません。
民法改正によって「人の生命または身体を害する不法行為」については5年間の消滅時効となりましたが不貞は精神的苦痛であるため対象とはなりません。
民法改正による変更点は「20年の時効」です。
改正前では「不法行為の時から20年」という規定は「時効」ではなく「除斥期間」とされていました。
「除斥期間」は「時効」とは違い更新や完成の猶予ができず(改正前は「時効の中断」)期限の延長ができませんでした。
「時効」とは違い相手が時効の完成を主張するか否かを問わず期間が到来したら請求をすることはできませんでした。
今回「不法行為の時から20年」という規定が除斥期間ではなくなったことで改正前よりも慰謝料請求できる可能性が広がりました。ただし、2020年3月31日までに「不法行為から20年が経過している場合」は除斥期間の経過により慰謝料請求することはできません。
不貞行為の慰謝料請求の時効が迫っている場合には時効の延長(時効の更新・完成猶予)をしましょう。
方法としては
- 裁判所に慰謝料請求を訴える
- 内容証明郵便で慰謝料を請求する
- 協議を行う合意をする
- 相手に慰謝料を支払うことを認めさせる
- (慰謝料支払に合意している場合)仮差押、仮処分、差押えを行う